(1)商品カテゴリと商品
このチャートは、商品カテゴリの分析、商品単体の分析などで使えます。
アルコール飲料、という大きなカテゴリでは、清涼飲料などの競合カテゴリと広さ深さを比較することになります。
そして、アルコール飲料のカテゴリ内では、ビール、ワイン、ウィスキーなどに分かれます。
ポイントは広さ深さというフレームワークは【商品カテゴリレベル(アルコール飲料vs清涼飲料)】→【サブカテゴリレベル(ビールvsワイン)】→【ブランドレベル(○○vs△△)】と、どのレベルでも存在するということです。
コーヒーチェーンであれば、カフェラミルなどのような、単価1000円クラスの狭くて深い高級カフェチェーンに対し、ドトールやスターバックスなどの広くて浅い低価格コーヒーチェーンがあります。
さらに、低価格コーヒーチェーンの中でも、広くて浅いドトールと狭くて深いスターバックスがあるのです。
●広さを求めるドトール
ドトールのコンセプトは「さりげなく小粋」(同社Webサイトより)です。
明確に、広く、浅くという方向性を打ち出しています。
より多くの顧客にコーヒーを提供するために、価格も安めに設定しています。
かつては「180円で淹れたてのコーヒーを」という価格訴求をしていました。
●深さを求めるスターバックス
逆にスターバックスは、顧客との深さを求めています。
スターバックスは顧客と深く付き合っていきたいわけです。
それを求める顧客の数は限定されるため、その分広さはある程度犠牲になります。
カテゴリ、サブカテゴリ、ブランドのどのレベルの分析を行うかは、まずBASiCSで定義したBattlefield(戦場)によって違ってきます。
まずは戦場にいる競合と広さ深さを比較します。
また、どんなマーケティングアクションを取るかによっても違ってきます。
あなたが製茶メーカーのマーケティング部長なら、清涼飲料のカテゴリ、お茶(緑茶)のカテゴリの分析でカテゴリ戦略を考え、そのあとでブランドレベルでの分析を行って、ブランド戦略を考えていくことになります。
スポーツドリンクの営業マンであれば、スポーツドリンクというサブカテゴリで全体の棚の提案を考え、ブランドレベルでの分析で、自社ブランド全体でいかにフェース(棚のスペース)を多く取るかの提案方法を考えるなど、色々な使い方ができます。
カテゴリ、サブカテゴリ、ブランドのどのレベルの分析を行うかは、まずBASiCSで定義したBattlefield(戦場)によって違ってきます。
まずは戦場にいる競合と広さ深さを比較します。また、どんなマーケティングアクションを取るかによっても違ってきます。
あなたが製茶メーカーのマーケティング部長なら、清涼飲料のカテゴリ、お茶(緑茶)のカテゴリの分析でカテゴリ戦略を考え、そのあとでブランドレベルでの分析を行って、ブランド戦略を考えていくことになります。
スポーツドリンクの営業マンであれば、スポーツドリンクというサブカテゴリで全体の棚の提案を考え、ブランドレベルでの分析で、自社ブランド全体でいかにフェース(棚のスペース)を多く取るかの提案方法を考えるなど、色々な使い方ができます。
(2)自分の商品・競合商品をチャート上にプロットする
では、実際に計測してみましょう。具体的な数値の計算方法をあげてみます。
数字がなければ、職場で議論しながら作成するのもいいでしょう。
ただ、自社商品はどうしてもポジティブかネガティブのバイアスがかかってしまいますので、第三者の目を通ることがポイントです。
ニーズの広さと深さの数値指標
BASiCSの例(1) 店舗の場合
個人客対象の店舗は、例えば、このようにします。あなたのお店の商圏内の月間顧客カバー率は「あなたのお店の月間純購買者数÷あなたのお店の商圏内の全煎剤顧客数」で計算できます。
まず分母ですが、あなたの店の商圏内にいる潜在顧客の数を調べます。
正確に分からない場合は、概数で構いません。
仮に、あなたの店舗が東京23区内にあり、ターゲットが半径1km内の30~49歳の女性としましょう。
人口密度は1万3100人/平方キロですから、商圏が半径1平方キロなら商圏面積は3.14平方キロ、それに人口密度をかけて、約4万人が商圏人口です。
総務省の人口推計(平成16年8月確定人口)から計算すると、全国の30~49歳女性の割合は13.3%。東京23区がこれと同じと仮定して、4万×13.3で約5300人が商圏内の30~49歳女性となります。
誤差は5000人にプラスマイナス1000人という概算ができます。
分子は、あなたのお店の月間純購買者数を調べます。
頻繁に顧客が立ち寄るスーパーなら「週間」でもいいでしょう。
「純購買者数」は1人の人が何回買っても1人として数えます。
「広さ」は純粋な頭数、つまり、重複のない人数を使います。
仮に、月間1000人が来店して何らかの購買をするとしたら、1000÷5000で月間顧客カバー率は20%となります。
つまり、残り80%の潜在顧客はあなたの店で買っていないということです。
これで広さが計測できました。
次に深さを計測します。
指標の1つとして、1人の購買者が広さで定義した期間(ここでは1ヶ月)中の購買回数(リピート回数)が使えます。
これが分かる店舗は少ないでしょうが、お客様カードや会員カードを発行し、購買データを取っていればできるはずです。
指標として金額の方が重要であれば、「月間購買者1人あたり平均月間売上」を使います。
1人の購買者が広さで定義した期間中に買った金額です。
月間総売上は通常分かりますから、広さの数字が分かれば計算できます。
「月間総売上÷月間純購買者数」が、購買者1人あたり月間売上になります。
例(2)メーカーのブランド担当者の場合
【広さ:1ヶ月購買経験率】
定期的に消費者調査を行っていれば、BASiCSのB(戦場)とC(顧客)で定義されている直近の購買経験がある潜在顧客の割合が分かるはずです。
カップラーメンを過去に買ったことがある人を総潜在顧客とします。
その中で、あなたの会社のブランドを1ヶ月以内(ここは業種・業態・ブランドによって違っても構いません)に買ったことがある人の割合を使います。
仮に10%だったとしましょう。
これが広さの指標となります。
【深さ:1ヶ月購買経験者の月間平均購買個数】
次に深さです。
広さで調べた購買経験者の、1ヶ月間の購買個数を深さの指標として使うことができます。
つまり、消費者調査で広さと深さの両方取っておくと両方の分析ができるわけです。
ここでは1ヶ月に3個買っていることにしましょう。
「広さ:10%」「深さ:3個」というのが、広さ深さの指標になります。
単価が同じであれば、1ヶ月購買経験率を上げるか、月間購買個数を上げるかのどちらか、あるいは両方になります。
戦略によって、どちらを選ぶか変わってきます。流通対策がとれるのなら単価を上げるという手もありますが、この指標ではカバーされません。
そちらが重要と思われる場合は、深さの指標は個数ではなく金額となります。
これらはあくまでも例です。適切な数字は業種・業態・会社ごとに違います。
ポイントは【広さ:どのくらい多くの人に支持されているか】【深さ:どのくらいこだわりを持って買ってくれているか】をい測ることです。完璧を目指すよりは、すぐ手に入る数字を使って、とりあえず分析してみるのもいいでしょう。
数字がなければ推測でも構いません。このような発想でデータを見ることが重要なのです。
その場合、2人以上の目を通した方がいいでしょう。
ニーズが大きくても、広くて浅いカテゴリ内での競争は大変です。
ニーズが小さくても、狭くて深いカテゴリなら差別化しやすいかもしれません。
これからは「ニーズの大きさ」ではなく「広さ深さはどうだろう?」と考えて下さい。
広さ深さとポジショニング
「ポジショニング」という言葉は、マーケターの間では日常的に使われます。
元々は「消費者の頭の中に占める位置」という意味で、この言葉が使われました。
今は、「競合との差別化方法」に近い意味でも使われています。
ポジショニングの切り口の1つが「広さ深さ」です。自分の商品・サービスをどこに位置づけるのか?「広く浅く」の大衆ブランドか、「狭く深く」のニッチブランドか? が切り口になります。
これによって、価格・広告メッセージ・商品など全てに影響が出ますから、ポジショニングは「戦略」を決めることでもあるのです。
ポジショニングを図で示す「ポジショニングマップ」の書き方は色々ありますが、「広さ深さチャート」はその1つとして使うことができます。
数値化されているので客観的であることと、売上に直接影響する軸を使っているという利点があります。
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