(1)経年変化を追う
あなたの商品・サービスが、長期的にどこの方向に動いているか、チャート上にプロットしてみましょう。
右上、「広く深く」なっていれば万々歳ですが、このケースは少ないでしょう。
行きたい方向と合っていればとりあえず安心で、それを早めていく戦術を考えます。
もし、逆の方向に進んでいたら、それを止めるだけでも相当なエネルギーが必要です。
チャートの右側に行っている(広がっている)が、実際には上に行きたい(深めたい)場合は、右へ行くのは止めずに、上へ行くことを考える、全体としては右上に行くことにする、などと考えていくわけです。
そのためにどのような戦術・戦法をとっていくのかを考えるのです。
(2)競合との比較をする
次に競合商品について同じ分析をします。
BASiCSのB(戦場)で、競合と考えているいくつかのブランド・店・商品を同じ指標を使ってプロットしてみましょう。
なぜならあなたの商品・サービスの広さ深さは、競合との競争関係によって決まるからです。
あなたの商品・サービスだけでは判断する基準がありません。
競合のデータは入手しにくいですから、現場の営業マンの話を聞く、顧客調査をするなど、複数の方法を使って検証するといいでしょう。
営業マンは自社を低めに、顧客は自社を高めに評価するなど、情報元によってばらつきがあるからです。
(3)方向性を決める
自社商品を競合商品をプロットし終えたら、次にあなたが向かう方向を決めます。
戦略BASiCSやマインドフローとの整合性を取りながら、上か右のどちらに行くかを決めます。
売上を増やすにはニーズを深く(上に行く)か、広くする(右に行く)かですが、どちらに行くかでマーケティングアクションは全く違ってきます。
右の場合はマスマーケティングを志向します。
つまり広告・宣伝に投資することになります。
上の場合は、データベースマーケティングや、販促・営業強化を志向します。
DMによる販促活動もこちらです。
上か、右か。
その戦略が戦術である、広告・営業・販促を決めるのです。
戦術は戦略に追従します。投下できる資源は少ない場合は、ニーズを深めるのがセオリーでしょう。
既にあなたのユーザー数が多く(ニーズが広い)、ほとんどのターゲットが買ったことがある、持っている場合はそれ以上広くできませんし、投資効率が悪くなります。
世間に十分行き渡っているのにまだ買っていない人には、買わない理由があるからです。
ニーズが浅い、ブランドスイッチが頻繁に起こる理由の1つとして、顧客が絞り切れていないということがあります。
競合状況にもよりますが、顧客を若干絞り込みながらニーズを深めていく、というのがセオリーです。
あなたの商品が左上の「狭くて深い」にいるなら、固定客がついています。
しかし、顧客の広がりがないため、売上の大幅増はなかなか難しいです。
一気に右に行こうとすると、今の顧客を失う、ブランドとしての個性がなくなるなどのリスクがあるからです。
さらに深くする(上に行く)か、既存顧客を維持しながら広げられる(右へ行ける)かは、戦略的な判断になります。
(4)新規参入する場合
ある商品カテゴリで新規ブランドを立ち上げる場合、ニーズが深いブランドでは難易度が高いことが分かると思います。
既に確立しているブランドからシェアを奪うわけですが、深い=ブランドロイヤルティが高いブランドから奪うのは難しいのです。
しかし、そこを勝ち抜けばその後楽になります。
リピートがつきやすいミントガムで新ブランドを立ち上げるには、時間と広告投資が必要になります。
立ち上げるのは難しいですが、一度顧客の支持を得られれば、続けて飼ってくれる可能性が高く、長期的な利益になるでしょう。
逆に、ニーズが浅いカテゴリであれば、新規参入してシェアを取ることは比較的楽です。
「最初」は。
ガムでいえば、とっつきやすい(ニーズが浅い)フルーツガムなら若い層が飛びつき、短期的には成功の可能性が高いのです。
しかし、ブランドスイッチが激しく、維持が難しいので長期的に売り続けるのは困難と思われます。
コンビニやスーパーのガム棚を見ると、ミントガムは定番商品が並んでいますが、フルーツガムは(ガム棚ではなく、駄菓子コーナーに置かれている場合もあります)頻繁に入れ替わっているはずです。
(5)商品間の投資戦略判断
あなたが複数の商品を持っている場合、ニーズが深い、すなわちブランドを確立している商品で稼いだ利益を、ニーズが浅い商品に投資して深めていくこともできます。
また、ニーズが浅い商品を数多く出して短期間で稼ぎ、その利益で「狭くて深い商品」に投資して「広くて深い商品」へと動かすこともできます。
どうするかはその時の状況によっても違いますが、そのような商品のポートフォリオ(資産の組み合わせ)を戦略的に考える材料としても使えます。
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