認知:商品の認知率
商品・サービスの存在を、潜在顧客の何%知っているのか、純粋想起(何も言われなくてもブランド名が思い出せる)・助成想起(ブランド名を聞けば思い出せる)のそれぞれの率は、を把握します。
名前を知らないと買いませんから、認知度が低い場合は上げることが需要になります。
通常は、消費者調査などで把握します。
興味:興味率
商品・サービスを認知している人の中で、興味を持っている人はどのくらいいるのかを計測します。
これも通常は消費者調査から把握します。
行動:資料請求数、来店者数など
月間、週間などの一定期間中の資料請求数、電話などによる問い合わせ数、HP訪問数、来店者数、営業訪問数など、会社とお客様とのコンタクト数を計測します。
これは、実数(重複がない人数)を把握するようにします。
ここでの目的は、潜在顧客の何%が行動しているか把握することですから、延べ人数では数が膨大になってしまいます。
比較:競合商品購買率・人数
「行動」した人の中で、月間、週間などの一定期間中にあなたの商品・サービス、または競合商品を買った人の率・人数です。
つまり、あなたの商品・サービスが属するカテゴリの商品・サービスを買った人です。
他社が購買データを提供してくれることはまずありませんので、競合のデータは消費者調査することになります。
業界団体のデータを調べる方法もあります。
さらに踏み込んで、どの競合商品を買ったのかが分かるのが理想的です。
これも延べ人数ではなく、実数を把握します。
購買:購買率・人数
月間、週間などの一定期間中に、あなたの商品・サービスを何人の人が購買したのかを把握します。
これも実数が必要です。
数字を調べるには、顧客1人1人を把握する仕組みが必要です。
スーパーマーケットなどでよくある、1人1人の購買POSデータを習得できる会員カードを発行している場合は、実数が分かります。
それが難しければ、一定期間を区切って計測することもできます。
例えば、1ヶ月限定の割引用会員カードを発行し、買った人のカード番号をレジで手書きしていけば、実数計測ができます。
手間がかかるので、期間を区切って行うのです。
通常1人1つしか買わない商品(ホームユースのパソコンなど)は、販売個数を純購買人数とみなしてもよいでしょう。
利用:利用率
購買しても使わない場合もあります。
例えば、買ったパソコンの使い方がよく分からず、使っていないなどです。
このようなことがあり得る場合は、「利用率」を測る必要があります。
「買ってくれたならそれでいい」という意見もありますが、リピート購買が期待できない、マイナスの口コミという、使われない場合のマイナスもあります。
あなたがブルーレイレコーダーを買ったのはいいが、使い方が複雑で使っていないとします。
知り合いがあなたが買ったものと同じ機種を買おうと思い、既に買っているあなたに相談したら、あなたは「使いにくいから使っていない」と答えるでしょう。
もし、便利で使いこなしていれば「便利だよ。これいいよ」と答えますよね?
飲食店の場合は、購買したら普通は食べますから、把握の必要は少ないかもしれません。
しかし、「スープを残すかどうか」を味の基準にしているラーメン屋もあるそうです。
「スープの飲み干し率=利用率」というわけです。
食べ残しが多いと、利用率が低かったという解釈もできます。
愛情:愛情度
どれくらい商品・サービスを愛しているか、熱烈なファンであるかという数字です。
調べるのはなかなか難しいですが、リピート率、顧客全体に常連客が占める割合、または消費者調査などで数値化は可能です。
マインドフロー計測例
A証券会社S支店のマインドフローを考えてみます。
数値は全くの仮、あくまで理解促進の材料です。
A証券会社S支店の課題は、個人顧客の開拓です。
潜在顧客は通勤のために店の前を通るビジネスパーソンとします。
最寄り駅の総乗降客数、店の前を通るスーツを着た人の数、周辺の事業所の数なおから2万人という数字を導き出したとします。
これを潜在顧客の総数(2万人=100%)とします。
次に、街頭アンケートをしたとします。
対象は、店の前を通るスーツを着た人と、近くに通勤している人です。
結果は、「A証券会社S支店の認知率=100%」「証券会社での資産運用に興味のある人=65%」「A証券会社S支店への来店経験者=10%」となりました。
毎日店の前を通っているので、全員S支店を知っており、資産運用に興味のあるビジネスパーソンも多いでしょうから、大体こんなものだろうと、当初の予測と大きなズレはありません。
次に、A証券会社S支店に口座がある個人顧客数を調べました。
時点のデータですので、すぐ分かります。1000人、総潜在顧客の5%です。
これを購買の「数値」として使います。さらに、その1000人が過去6ヶ月間に取引があったかどうかを調べたところ、300人が1回以上取引していました。
総潜在顧客の1.5%です。
これを利用率とします。
これらをグラフにして、数値が急激に落ちているところが、改善すべき関門です。
このチャートから、マインドフローの各関門について分かることは、
- 認知率・興味率が高い:駅看板などのマス広告は不要。その資金を別の関門の数値向上に回す。
- 行動(来店)率が低い:興味は持っているので、セミナーなど積極的に行って、来店を促す必要がある。
- 購買率は高い:来店さえしてもらえれば、口座を開いてもらえる確率は高い。
- 利用率が低い:せっかく口座を開いていただいても取引がなく、機会損失になっている顧客が多い。
となります。
行動率と利用率が上がれば、売上が大きく伸びるであろうことが把握できます。
グラフに起こすと、各関門を通る度に、潜在顧客が漏れていっていることが視覚で分かり、大きな問題になっている箇所が数値で捉えられます。
確認すること自体に意味がありますし、さらに、この数字をベンチマークとして使い、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後にどれだけ改善されているかを追跡できます。
それが、「戦略を日常業務に落とし込む」ということです。
マインドフローの実例
100通のDM |
||||
認知 |
? |
|||
興味 |
? |
|||
行動 |
資料請求30社 ↓ |
反応率30%は凄まじく高い | ||
比較 |
営業アポ15社 ↓ |
50% |
アポ率50%も凄まじく高い |
|
購買 |
5社 |
33% |
購買率33%も凄まじく高い | |
利用 |
? |
↓ |
||
愛情 |
1社 | 20% |
要改善 |
|
これは、生産設備を法人顧客に製造・販売する某メーカーの実例です。
数値は少し加工していますが、ほぼ実数に近い数字です。
100通DMを出して、資料請求が30通もあるのは、脅威のレスポンス率です。
そのうち半分と営業のアポイントがあり、さらにそのうち5社が買ってくれる。
すごいことです。DMを100通だして5社の受注があるのです。
ここまでは問題ありません。
しかし、5件中リピートしてくれる顧客は1社のみ。
せっかく受注しているのに、80%も逃がしているのは非常にもったいないですよね。
既に商品を購入していただき、担当者とも面識がありますから、ここの関門の改善はできそうです。
何か不満点がある場合は、それを伺って早急に改善する必要があります。
マインドフローで数値分析をすることで、どの関門の優先順位が高いかが客観的に分かるのです。
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