広くて深いブランドは、なかなか存在しません。
利益率が高く、利益額も大きいのでどんどん参入し、差別化できなくなってニーズが浅くなる(チャートで下に行く)か、ニーズを特化して深める(チャートで左に行く)かになります。
客単価と深さは必ずしも連動しませんが、ニーズの深いブランドは客単価が高いところが多いようです。
そうしないと、数では稼げないので利益が出ないからです。
余程経営資源が豊富で、広くて深い市場を守れる場合を除いて、通常は広く浅くか、狭く深くに行かざるを得ないわけですから、どちらに行くかを他人が決めるよりは自分で決めた方がいいわけです。
セオリーでいけば、一番手やトップ3(すぐ上との差がそんなに開いていない)に入る企業の場合は、右上(広く深い)を志向します。
それ以下は顧客を絞り、左上(狭く深い)に行くことになります。
中小企業の95%は左上を目指すのが普通でしょう。
それが「絞って絞ってナンバーワン」戦略でもあります。
世にいう「選択と集中」です。
12・広さ深さとマインドフロー
ニーズを広げるのか深めるかによって、マインドフローのどこに力を注ぐのかが変わってきます。
今知らない人に知ってもらって興味を呼びかけるマインドフローの上の方は、ニーズを広げたい時力点を置きます。
深めたい場合は、リピートを促進する、口コミを誘発するなど、マインドフローの下の方に力を入れます。
広げるのか深めるのかという戦略によって、他のツールに影響を与えます。
ドトールとスターバックス
スターバックスでは、クリームやエスプレッソショットなどの追加が無料でできたり、50円プラスでできたりします。
ある人が「エクストラショット(スターバックスラテにエスプレッソショットを追加)って、何杯までできるんですか?」と聞いたところ、「カップに入るなら何杯でも。8ショット頼んだ人もいます。しかも氷を入れて」と、会話が弾んだそうです。
また、注文後に道を尋ねた人に対し、道を聞いた後カップを取りに行くと「冷めてしまったので作り直しますよ」と、さも当然に作り直したそうです。
「ニーズを深める」というのが、従業員レベルで浸透しているのです。
部隊は変わりまして、競合他社であるドトールの店員さんのオーダーをこなしていく手際は見事なものです。
凄まじいスピードで行列ができているお客様をさばきます。
同じ「戦場」で戦うコーヒーチェーンの両巨頭、ニーズの広さのドトールはスピード、深さのスターバックスは心遣い、それぞれ従業員レベルでできているからこそ勝ち残っているのです。
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