ニーズを広げるマスマーケティング型に対し、ニーズを深めるのはブランド深耕型です。
一般的にニーズを深めると、高級・高価格・こだわり・ニッチ路線になります。
マスマーケティング型をとるのかブランド深耕型をとるのかによって、Sailing message(売り文句)の言い方が変わります。
訴求内容ではなく、表現方法が変わるのです。
極端に言うと、「天国を見せるか、地獄を見せるか」になります。
同じことを言っても、言い方によって受ける印象は正反対です。
天国型 |
地獄型 |
儲かりますよ |
損しますよ |
早いですよ |
遅くていいんですか? |
楽しいですよ |
辛くありませんか? |
そうなると、広告の作り方、使う絵や写真、キャッチフレーズなど全てが違ってきます。
どんな広告を作るのかは、ニーズを広げたいのか深めたいのかによって違うのです。
ニーズを広げる時には地獄を見せる
ニーズを広げる時は、「地獄型」で不安訴求を行います。
「何もしないと、こんな問題が起きますよ」型が有効なのは、人間は不安に反応しやすいからです。
ニーズを広げることは「新しいニーズを創る」ことでもあり、その際「地獄型」は有効です。
この時に使うのがFUDです。Fear(恐怖)、Uncertainty(不確実性)、Doubt(疑い)の頭文字を取ったものです。
地獄にも疑いレベルの「それ、本当に効果ありますか?」程度から恐怖レベル「こんなまずいことになりますよ」まであるのです。
ニーズを深める時は天国を見せる
ニーズを深めようとする場合は、不安訴求・地獄型はタブーです。
ブランド破壊になります。バラ色の世界、天国にいるような心地よさを見せてあげなければいけません。
化粧品は美しい世界観を持ったテレビCMを流しますし、BMWは道路を車が颯爽と走るCMです。
高級ブランドは不安訴求をしないのです。
天国型は浸透に時間がかかります。
だからこそブランドを創るのは大変で、時間がかかる作業なのです。
レスポンス率としては地獄型に軍配が上がります。
しかし、天国型でもレスポンス率を高める方法はあります。
「共感」させるのです。
とある幼児教室のチラシの「笑いながら、遊びながら」というキャッチコピーが、親御さんに共感を呼び、高い反応率だったそうです。
「あなたのお子さんができなくてもいいんですか?」という不安訴求をすれば反応率が高いことは、あらかじめ分かっていたそうですが敢えてしませんでした。
長期的なブランドを作るためには「脅し」てはいけないのです。
Sailing message→天国型と地獄型 |
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天国型 |
地獄型 |
|
早い! |
スピード |
そんなに遅くていいんですか? |
安い! |
安さ |
高くありませんか? |
儲かりますよ |
儲かる |
損していませんか? |
簡単ですよ |
ラク |
そんなに辛くていいんですか? |
楽しいですよ |
楽しい |
悲しくありませんか? |
不安訴求メッセージはブランドを破壊する
「不安訴求型メッセージ」は、短期的には劇的な効果を発揮しますが、顧客がそれに慣れ「あ、またやってる。もう引っかからないぞ」となって、効果が落ちていきます。
不安要素で買わせようとしていることを見抜くのです。
そう思われた時には既に遅く、「あそこは不安を煽って稼ごうとしている」というレッテルを貼られ、一気に信用を失います。
不安訴求メッセージは使っていくうちにブランドがボロボロになっていくのです。
短期的に効果があるのは事実ですから、使う時はここぞ、という時にして、くれぐれも使いすぎないようにしましょう。
このように、BASiCSと広さ深さは連動しています。
各ピラミッドルールでの整合性が取れると、美しく、効果的な戦略ができるのです。
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