典型的な戦略構築プロセスは、「現状分析」「戦略構築」「目標設定」「優先順位決定」「戦術策定」「効果測定」の間を行ったり来たりして作られます。
戦略ピラミッドの各ツールはそれぞれ得意分野があります。考えるツールのBASiCSや広さ深さチャートは、現状分析・戦略構築に力を発揮します。
数値化に強いマインドフローや売上5原則は、目標設定・効果測定で特に威力を持ちます。
まとめると、次のようになります。
戦略 BASiCS |
マインド フロー |
売上5原則 |
ニーズの 広さ深さ |
プロダクト フロー |
|
現状分析 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
戦略構築 |
◎ |
○ |
○ |
◎ |
○ |
目標設定 |
◎ |
◎ |
○ |
||
優先順位 |
◎ |
◎ |
○ |
||
戦術策定 |
◎ |
○ |
◎ |
||
効果測定 |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
|
◎:最適 ○:好適 |
通常は(1)全ツールを使って現状分析を行う(2)BASiCSで全体の方向性を決め、マインドフロー、広さ深さ分析で戦略を具体化する(3)BASiCSで整合性チェックする(4)マインドフロー、売上5原則で数値目標を立て、優先順位を決める(5)BASiCS(特に売り文句)、広さ深さチャート、プロダクトフローで戦術を作る(6)マインドフロー、売上5原則で継続的に効果測定を行う となります。
各ピラミッドツールは連動し、それぞれ違う視点と違う役割を持っています。
究極的には「あなたの商品・サービス・会社の強みを活かし、お客様の価値あるものを提供し、強豪に勝つために差別化する」戦略を作るという意味では、同じものを違う側面から見ているとも言えます。
レンズが太陽光を集めて火を起こす、一点に集中した錐が穴を開けるように、ピラミッドツールの整合性がとれた時、力を発揮するのです。
戦略とは集中することです。
集中には選択を起きます。
それにはリスクがあります。
だからこそ、色々な角度から検証する必要があります。
それが数値化を伴うツールなのです。
数値化による検証をすれば、自信を持って実行することもできるのです。
ツールの数は、その連動性・整合性を確認する場合に5つくらいが限界だからです。
まずは5つのツールを使ってみて、全体を眺めてみることをお勧めします。
1つが完成しなくても、ほかが完成すれば相互に連動しますから、できなかった箇所も自然に埋まっていくはずです。
順番にこだわる必要もありません。
様々なツールを使う理由の1つは、「脳に考えることを強制させる」ことでもあります。
考えることを「強制」されない限り、人間の脳は働きません。
しかし、フレームワークが空欄だと「ここに何が入るのだろう?」と考え出します。
フレームワークによる「強制」は、思考の自由を奪うのではなく、思考の触媒となるのです。
そして、色々な人とワイワイガヤガヤ進めることです。
色々な意見が出るほど、戦略の幅も広がります。
広がりすぎて収拾がつかなくなっても、最後にBASiCSやマインドフローに通せば一貫性が出てきます。
ツールを全部使うのが理想ですが、無理なら1つからでもいいのでやってみましょう。
戦略ピラミッドは、「自分たちはどこにいるのか?」「どの方向に動くべきなのか?」を考えるためのツールです。
地図がなくても航海はできますが、リスクは非常に大きくなります。
地図を使うには、まず現在地を正確には愛する必要があります。
ですから繰り返し数値化を唱えてきたのです。
戦略BASiCSでは活動の整合性がとれているのか、対競合として十分な力を持っているのかをチェックします。
マインドフローでは課題はどこなのか、強化すべきポイントはどこなのかが分かります。
ニーズの広さ深さチャートでは、カテゴリの動き、自分たちの商品が対競合でどこにあるかが分かります。
地図でいう現在位置です。
売上5原則はカーナビのようなもので、刻々と変わる自分の位置を教えてくれます。
そして、これらの情報から「どの方向性に行くべきなのか?」を判断していくのです。
地図で言えば、北に行くのか東に行くのか、今東京にいるとすれば、大阪に行くのか札幌に行くのかを決めるわけです。
目的地に行くために利用するのは船か、飛行機か、新幹線かというのはあなたがいる場所、持っている資源によって制約を受けます。
行く方法までは地図は教えてくれません。
どこに、どれで行くかはあなたの資源、そして何よりあなたの「意思」で決まるわけです。
世の中にはまだまだ色々な成功事例があります。
身のまわりの事例からマーケティングを学べるようにしておきましょう。
特別難しいことではありません。
何か買う時、その背後には売り手の戦略があります。
それを考えるのです。
例えば、マクドナルドの店員に「ポテトはいかがですか?」と言われたら、「それはなぜだろう?」と考えます。
これは「売上点数を増やすため」の「クロスセル」です。
1時以降のランチ客にコーヒーサービスしているレストランがあるのはなぜだろうと考えます。
混む時間を避けて来店していただき、回転率を上げるためです。
このように、マーケティングのネタは身のまわりに溢れています。
「マーケティング脳」が頭にできると、どんどん他業種の成功事例に気付くようになります。
もう地図は準備できましたよね?
ここからはあなたの番です。
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