スペシャルマーケティング

実戦で使えなければ机上の空論です。営業やマーケティングの現場は正に「戦場」です。

水漏れ分析

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水漏れ分析

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バケツから水が漏れていませんか?

バケツに水を入れると、普通は水が溜まります。

しかし、バケツに穴が空いていたら、水を入れているそばから漏れていき、いつまでも水は溜まりません。

ケガをして血が足りなくなったら輸血が必要ですが、その前に止血しますよね?

血がダラダラ流れたまま輸血しても意味がありません。

当たり前の話ですよね。

しかし、こと売上のバケツについては、途端に当たり前の話でなくなる場合が多いのです。

顧客を取っても取っても……

NTTのグループ会社で、小売店に通信機器を販売して、その機器を使い続けている限りNTTにお金が落ちてくるというビジネスモデルがありました。

営業の仕事はもちろん売上を増やすことで、毎日必死に新規顧客の開拓に奔走していました。

あるお客様の契約を取り、喜び勇んで会社に戻ると、そこには別のお客様からの「解約依頼書」が……原因は「使い方が分からないから」とのことでした。

結局1件新規顧客を取ってきても、既存顧客が1件減ってトータルは同じです。

努力の量としては、新規顧客を取るより既存顧客を維持する方が相当楽でしょう。

お客様が解約しないよう機器の使い方を教える努力をすべきだったのです。

B to Bならこのように既存顧客数が分かりやすいですが、小売店などのB to Cでも同じです。

昔はよく利用してくれたのに、他の店に移ってしまったということが小売店ではよくあるはずです。

水漏れ分析の例

法人顧客に情報誌を定期的に送っている会社の例です。

ある年、購読者数が4700から5000に増えました。

経営陣は、さらに売上を伸ばしたいということで、外からコンサルタントを呼びました。

顧客データを見たところ、顧客が相当入れ替わっているようでしたので、「水漏れ分析」を行いました。

購読者数の内訳を調べたのです。

要約すれば、年間で「新規顧客:2300」「流出顧客:2000」「維持顧客2700」と、大幅に顧客が入れ替わっていたのです。

新規顧客を取るそばから既存顧客が流出していたのです。

この会社は、以後流出防止に人と予算をつぎ込むようになったそうです。

営業組織において、「新規獲得した営業担当者には拍手・ボーナス・名声が送られるのに、既存顧客を維持しても見返りがないばかりか仕事が増えて損するだけ」というケースがよく見られます。

すると、既存顧客のケアが手薄になり、流出のスピードが加速します。

新規顧客獲得だけで評価していますから当然です。顧客維持も結構大変な仕事なのです。

常に高いサービスレベルを維持していないと、顧客は他に流れてしまいます。

客数を増やすには

水漏れ分析は、5原則の「新規顧客の獲得」「流出顧客の減少」に注目したツールです。

客数を増やすには、獲得と同時に流出防止が重要です。

両者のどちらに力を注ぐかを戦略的に考えるためのツールです。

意外と軽視される流出顧客対策

クレジットカード会社などは、流出顧客対策を徹底的に行っています。

解約しようと電話をすると、電話口で色々言って引き留めます。

しかし、流出顧客対策を体系的に行っている会社は少ないようです。

実際の顧客データを分析してみると、顧客流出が売上に与えるインパクトは、経営陣の予想以上に大きいのです。

にもかかわらず、新しく顧客を獲得したスタッフには「よくやった。おめでとう」の言葉や評価・ボーナスアップの見返りがあるのに、既存顧客からリピートオーダーをいただいたスタッフを褒めたり見返りを与えたりする会社はあまりありません。

しかし、既存顧客のリピートオーダーの方が一般には効率的です。

なぜなら、同じ労働力、時間、お金でより大きい売上が得られるからです。

それは、既存顧客には次のような特徴があるからです。

(1)既にそのお客様を知っている(かもしれない)

既存顧客の顔、名前、住所、電話番号、メールアドレスをあなたが記録・記憶していれば、どこに行けば(連絡すれば)いいのか分かります。

新規顧客を獲得する場合は、「この辺りにいるだろう」と見当をつけ、宣伝したりDMを出したりして、絞っていくことになります。

コストや時間がかかりますし、TVなどのマス媒体では、正確なターゲッティングが困難です。

(2)既にあなた(の会社)を知っている

お客様はマインドフローの「認知~購買」までを経験しているわけです。

1回買って(利用)しているのであれば、トラブルでもない限り、あなたの商品・サービスについての知識・好意ができあがっていますから、あなたの自己紹介などのプロセスを伸ばすことができます。

このような、ある意味当たり前の理由で、既存顧客の流出防止の方が効率のよいことが多いのです。

まずは数値化することが重要

まずは新規顧客・流出顧客の数値を把握し、できれば経験変化を追いましょう。

新規顧客は把握している会社は多いのですが、流出顧客の経年変化を把握しているところは案外少ないのです。

まずは、年ごとの「水漏れバケツ」を書いてみましょう。

水漏れ分析の意味

「水を注ぐ前にバケツの穴をふさぐ」という意見に反論する人はまずいないと思います。

まずは「穴が空いているのか」を分析するのが重要で、「穴が空いていない」「これ以上穴は小さくできない」ということが確認できれば、初めてバケツに水を注ぐ=新規顧客の増加に資源を投入すればいいわけです。

逆に、何十回も既存顧客にDMを出し、売れるだけ売ってしまったというような状況では、既存顧客に対する活動の効果が減っていきます。

今度は水が漏れないことにより、水がよどんできているわけです。

その場合は、お金がかかっても新規顧客を獲得する必要があります。

新規顧客獲得と顧客維持とでは、マーケティングアクションが全く違います。

また、営業マンをどちらに多く配分するかなどの戦略決定の重要です。

このような意思決定をするにあたり、水漏れ分析は有益な情報を提供してくれます。

水漏れ分析と売上5原則との対応

売上5原則は「(新規顧客-流出顧客)×(購買頻度×購買点数×商品単価)」でした。

水漏れ分析は新規顧客と流出顧客を取り上げて分析するツールです。

客数を増やそう、と単純に言うのではなく、顧客数の動態構造を把握し、資源配分を戦略的に考えるためのツールです。


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