スペシャルマーケティング

実戦で使えなければ机上の空論です。営業やマーケティングの現場は正に「戦場」です。

BASiCSの使い方

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(1)戦略の整合性の確認

今の戦略が正しいか、整合性はあるかをBASiCSで検証してみましょう。

1)5つの要素の現状を書

BASiCSの5つの要素、それらのあるべき姿でなく現状を正確に、客観的に書いてみましょう。

客観性を保つために、チェックしてもらうのは他部署や社外の友人などがいいでしょう。

2)BASiCS各要素間の整合性をチェックする

全体を見て組み合わせの整合性をチェックします。

戦場と強み その強み・差別化ポイントは戦場で競合他社に対して独自性を持っているか? あなただけが提供しているものか?
資産と強み 強みは、資産によって長期的に支えられるか? 資産に独自性はあるか? なければ強みの独自性も失われる。
強みと顧客 その強みを欲している顧客をターゲットにしているか?
戦場と売り文句 その売り文句は、戦場であなただけが言えることか? 競合他社も言えるなら、強みに独自性がないか、売り文句が強みを表していない。
顧客と売り文句 その顧客に合った売り文句か? 売り文句は顧客ターゲットに熱烈に受け入れられそうか?
強みと売り文句 強みを表したものになっているか?

3)この中で弱い部分を確認する

埋まらない要素があったら、全体の整合性がとれていませんから再度見直しが必要です。

整合性に弱い部分があったら、それも要注意。今の主要顧客層が、あなたの強み・差別化ポイントをあまり評価していない場合だと、その顧客層を失う危険性が高いということです。

BASiCSの整合性が保たれると、会社の力が集中され、強い力が顧客に伝わります。

逆に整合性がなくバラバラだと、力が分散されてしまいます。

資源が少ないほど、力の集中が必要です。戦略とは、経営資源が少ない不利を克服するものですから、力の集中を伴います。

勝ちやすい「戦場」で、他社にない「資産」に支えられた「強み」を、よく絞られた「顧客」に「興味を持って伝え」れば、売れるのは当たり前です。

強い戦略は美しい

BSE騒動の前、吉野家のBASiCSは整合性が非常にとれていました。

「低価格外食」という戦場を、「低コスト・超スピードオペレーション」という資産を武器に、「早い・うまい・安い」を強みとして、「早さと美味さと安さを求めるビジネスマン」にスピーディーに提供。そして「早い・うまい・安い」の売り文句。

これほど美しいBASiCSは稀でしょう。

そのAsset(資産)となっていたのが、米国からの輸入牛肉の1割を占めるといわれた大量仕入れによるコスト競争力などでした。

ところが、BSE後はこの条件が全く変わってしまい、BASiCSが崩れてしまったことで、「低価格外食」「低価格丼ものチェーン」での吉野家の優位性は薄れました。

そして、すき家・松屋など競合他社との牛丼戦争が続いているわけです。

(2)競争戦略の立案

戦略は、競合他社と比べての相対的なものです。BASiCSも対競合戦略を立てる時に真価を発揮します。

まず、自社のBASiCSを書き、横に競合他社のBASiCSを書きます。

自社(現在)

自社(将来)

競合

Battlefield(戦場)
Asset(マーケティング資産)
Strength(強み・差別化ポイント)
Customer(顧客ターゲット)
Sailing message(売り文句)

【戦場は同じ】

同じBattlefieldにいる会社と戦うわけですから、違ったら、おかしいですよね。

【Asset、Strengthを比較する】

資産、強みは、あなたの会社・製品だけが持っているものである必要があります。

客観的に見て、差がそれほどない場合はAsset、Strengthの欄に入れてはいけません。

【自社の競合の中間に「将来」という欄を作る】

あなたと競合他社のBASiCSを見比べて、「これなら勝てる」と思ったら、その戦略を続けます。

ただ、普通は追いついてきます。

それまでにあなたのBASiCSが変わっていなければ競合他社に追いつかれ、あるいは追い抜かれてしまいます。

そうならないように、3年後、5年後のBASiCSを作っておきましょう。

競合他社のBASiCSと見比べて「これはまずい」と思ったら、戦略変更のサインです。

どこか、または全部変えなければいけません。

戦場を変えることもできる

Battlefield(戦場)を変えるというのは、今の市場を諦めるということですから、苦渋の決断になる可能性もあります。

ただ、戦場はお客様の頭の中にあるものですから、意外と簡単にできる場合もあります。

例えば、お客様の財布・予算も1つの戦場です。

「心の財布」の会計を移し替える簡単な方法は、「記念日」です。

クリスマスや誕生日は「特別会計」が発生しやすくなります。

また、「自分へのごほうび」も「特別会計」です。

普通の生活費である「一般会計」では予算オーバーでも、「特別会計」なら予算の査定が甘くなります。

商品をギフト用にすれば、一般会計から特別会計へと戦場を移せます。

また、戦場をくくり直す方法もあります。

半径50m圏内に低価格コーヒーチェーンが2軒もある喫茶店があるとします。

喫茶店の強みがコーヒーの淹れ方と豆の知識であれば、淹れ方を教えるという付加価値を武器に、インターネットで豆を販売するということもできます。

そうなると、戦場は「店の近所」から「全国でのインターネットコーヒー豆販売」に変わることになります。

戦略的には非常に大きな変更ですが、設備投資・人材などの面から見れば、物理的な移転や改造よりは小さな変更で済むかもしれません。

Sailing message(売り文句)を変えるのも、小幅な修正で済みます。

パンフレット、セールストークなどの変更は比較的簡単です。

BASiCSは全て連動していますから、通常は1ヶ所変えると全て変える必要が出てきます。

(3)BASiCSと他の戦略的思考法

競争戦略的な考え方

経営戦略論の教祖、マイケル・ポーター教授の唱える5Forcesやバリューチェーンという考え方は、BASiCSでは戦場になります。

ポーター教授の基本的な考え方は「正しい戦場にいれば儲かる」ということです。

利益は外部環境に左右され、バリューチェーンで一番儲かるところにいる、5Forcesで顧客の力が強くない業界にいる、そういう会社が利益率が高いという発想です。

リソース・ベースト・ビュー

しかし、ポーター教授の「業界構造だけで利益率が決まる」という主張に対し、「それならなぜ、同じ業界で儲かっている会社と儲かっていない会社が出てくるんだ?」という反論が出てきました。

外部環境だけでなく、企業内部の力も重要という考えが、「リソース・ベースト・ビュー」企業の資源の着目した経営戦略論です。

BASiCSではAsset(資産)のところで議論されることになります。

マーケティング戦略論的な考え方

企業経営を大上段から論じる考え方に対し、顧客から発想する戦略論もあります。

BASiCSではC(Customer)と顧客ニーズとしてのStrength(強み)で考えることになります。

3Cの戦略フレームワーク

他に有名な戦略フレームワークに「3C」があります。

Company(自社)、Competitior(競合)、Customer(顧客)の3つの視点で考えようという、これも真っ当な考えです。

BASiCSでは、Companyは資産と強み、CompetitiorはBattlefield(戦場)に置き換えて考えることになります。

Customerの考え方はそのままです。

(4)BASiCSのメリット

古今東西、戦略論は綺羅星の如くあります。

そんな中、BASiCSのフレームワークを使うメリットを紹介していきます。

1)包括的体系的に分析できる

それぞれのツールを全て別々に使おうとすると大変です。

BASiCSは、戦略レベルの戦場分析から、戦術レベルのSailing message(売り文句)まで、よく言えば体系的にカバーしています。

新しいことを開発したというよりは、既存の考え方をまとめて整合性を取るツールとしてパッケージ化したという、「いいとこ取り」です。

2)部分最適と全体最適:戦略の整合性を検証できる

BASiCSの5つの要素、全てが互いに関連している(関連すべき)ということを、意外と忘れがちです。

資産と強み、顧客と売り文句が合っていない例はよくあります。

逆に言えば、1つ1つは真面目に考えたのに結果が伴っていない場合は整合性がない可能性があります。

例えば、宣伝部門は「品質」を訴えている一方、生産部門は「コスト削減」を優先して品質を下げているという場合は、お互いが良い仕事をすればするほど、お客様に混乱したメッセージを伝え続けることになります。

部分最適が全体の最適化に繋がらないわけです。

BASiCSの最大のポイントは、「全体最適を構築する」という点にあります。

3)Sailing messageという戦術まで落とし込む

戦場で始まるBASiCSの最後は、Sailing message(売り文句)という、戦略論で扱われないものです。

事の成否を決めるほど重要でもあるわけです。

戦略の立て方は、方法さえ知っていればそんなに難しくありません。

本当に難しいのは、その戦略を分かりやすい形でお客様に伝え、買っていただくという部分です。

逆に言えば、ここを語らなければ戦略が完結しません。

「戦略で始まり、戦術で終わる」という意味も、BASiCSは包括的なフレームワークといえます。

4)漏れを防ぐ

BASiCSは5つそれぞれの要素を検討する、漏れを防ぐためのチェックリストとなります。

マーケティングは要素1つ1つで考えてはいけません。

逆に言えば、1つでも欠けるとそれが致命的な欠点になる可能性があります。

BASiCSの1つ1つを漏れなくチェックすることにより、ケアレスミス防止になります。


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